経済

経済 · 4月 01日, 2015年
データに基づいた分析と今後の道筋を分かりやすく提示した経済学書 この本が昨年あたりから日本でも話題になっている事を聞いていたが、原書は700ページで6000円の大著のため、年老いた頭ではとても読みこなせないと思い、要約本を何冊か読んでみた。...
経済 · 7月 01日, 2009年
周知のようにアメリカの巨大自動車メーカー GMとクライスラーが相次いで倒産し、国有化で再建の道を歩む事になった。我々の若かりし頃 キャデラックやシボレー等は憧れの的で、映画の中にも美男美女のスターがオープンカーに乗って高速道路を疾駆する場面を何度も見たものだ。いわば産業資本主義社会の権化みたいな会社でアメリカの繁栄の象徴でもあったが、今は見る影もない。 全盛の時代は石油がただみたいな安値で、広い国土を超スピードで駆け抜ける車がもてはやされたものだが、石油価格が暴騰し始めたオイルショックの頃から、外見の派手さより燃費効率の改善にもっと目を向けるべきではなかったのか。 しかし天下を取ったものは足元が見えなくなるものだ。それは経営者だけでなく従業員や関連事業社も同様だ。アメリカ議会で公的資金融資の依頼説明にビッグ3のトップが自家用専用ジェット機に乗って来たという事で厳しく非難され、結局融資の代償として辞任に追い込まれた。 役員報酬も過去何年も赤字垂れ流しで恐ろしいほどの負債を抱えていたにも拘らず、驚くほどの金額を得ていたようだが、従業員も日本の自動車メーカーの2倍近いサラリーを支給され、健康保険の手厚さも目を見張るほどである。さぞかしこの世の天国を謳歌していた事と思う。 宗教の世界では多神教も一神教も死後の世界の事を、行って来たかのように話してはいるが、死んだ先の事など誰にも実証しようがない。天国も地獄もこの世にあるもので努力次第ではどちらの世界にも行けるだろう。苦労して財産や人望を蓄えれば天国へ、散財を重ね人望を失えば地獄行きが相場だ。 BS日テレで「失われた世界の謎」と言う面白い歴史番組をやっているが、古代から現代まで繁栄した国や地域が必ず滅んでいるのは、驕れる人間が富は無尽蔵にあると言う錯覚にとらわれて栄華を極めた結果、色々な形で報復を受けるからであり、また過去に多くを学んでいても当事者になれば他人事のように思って目をそむけるからだ。 ところで昨年の下期から金融危機で世界中の経済が大混乱に陥り、わが国でも超優良メーカーのトヨタ自動車が一挙に赤字転落するなど状況が様変わりしたが、その後国家予算の大盤振る舞いや企業努力などでやっと危機的状況から抜け出す局面に来たものの、なおしばらくは踏ん張りどころである。特にGDPの大きな部分を占める個人消費に影響のある雇用や給与などはこれから更に悪化するので慎重な対応が必要だ。 先日ある会合でこんな話が出た。「今若い人たちの雇用状況が特に厳しいが、昔は徴兵制度があり、良し悪しは別として心身共に厳しく鍛えられたものだ。平和な今の日本では高齢化社会になり介護問題が深刻化しつつある。ついては就職していない若者に公の予算で給料を支給しながら、高齢者介護の現場を2~3年経験させる仕組みを作ったらどうか。介護の大変さを身をもって体験すれば、福祉や親子関係の問題、失業対策等多くが解決の方向に進むだろうし、本人の人生観の形成の上にも役立つと思う」と。とても建設的なアイデアだと思った。 然るに世界の経済危機を起したアメリカのビッグバンクが、公的資金の注入を受けて賞与の削減を実施したが、その分を年俸アップで補填すると言うニュースが最近流れてきた。 理由は優秀な人材を確保するためとの事だ。金融関係者は「優秀な人は皆守銭奴」と言う風に考えているのだろうか。わが国でも金融関係の賃金データは公にされていない。理由は世間と差があり過ぎるからと言われる。 新興企業や投資家の中には法外な収入を得て成り上がる人たちがいるが、それは一方で大きなリスクを取っているからで、明日には一文無しと言う事もある世界だから認められるのだ。世の中の仕組みの中枢にある公務員を始めとする組織人がそんな考えを持っているとしたら国家は成立しない。 嘗てソロモンの栄華を誇ったユダヤ王国が滅亡した後、2000年間世界を流浪し虐げられ、当時は汚い仕事と蔑げすまれていた金融の仕事で次第に力をつけ、やっと60年前に国の形が取り戻せたが、宿敵イスラム世界との厳しい戦いは終わっていない。現代の拝金主義者は、ユダヤ人が血みどろの生活の中から獲得したものを、つまみ食いしているようなものだ。 「驕れるものは久からず」を誰しも肝に銘じておくことが今一番肝要なのではないか。
経済 · 1月 01日, 2009年
新年おめでとうございます。 一昨年アメリカのサブプライムローンの破綻に端を発した金融危機が昨年全世界に広がりついに金融資本主義体制が崩壊し新秩序へ移行か、などと真剣に議論されている。  事実世界の金融市場は一時期機能しなくなり、多くの金融システムや企業が破綻し、今もその懸念は拭われてはいない。...
経済 · 4月 01日, 2008年
今年は、冬の寒さが例年並に戻ったので、桜の時期は去年より遅くなると思っていたら、東京は3月27日に満開宣言が出た。これは観測史上3番目に早いそうだ。自宅のマンションの前庭に植えた「枝垂桜」は2年目を迎え、去年とは比較にならないほど沢山の花が咲いている。また亡妻の記念に病院の庭に植えた「花海棠」も美しい花をふんだんに見せてくれて嬉しい限りだ。 しかし、自然もいいことばかりではない。今年は花粉の飛散が去年より3倍も増えるそうで、既に私も被害を蒙っている。杉だけでなく檜も5月まで花粉を飛ばすそうで何とも憂鬱な話だ。一日も早くワクチンを開発してほしい。 さて今回のテーマについて、去年の春頃からマスメディアに載り始めた言葉だが、同年8月の世界的な株式の暴落で世界中の人々に知れ渡った。元々はアメリカの住宅バブルが原因だからアメリカ国内で処理できる問題で、世界に飛び火する可能性は少ないと思っていたし、FRBのバーナンキ議長など金融責任者も高を括っていたようだ。しかし関係者の予想に反して事態は悪化の一途をたどり、金融機関の信用収縮で今や世界中が1年前の好景気から一転して不況に突入かと言う、信じられないような状況に陥っている。 過去数年世界的な成長が続き、中でもBRICSを中心に新興国の伸びが著しかったので、この辺で一旦調整にはいったとしてもおかしくないが、事日本に関しては直接関係がないにも拘らず世界で一番株価が下がっているのは何とも皮肉な話だ。 これについては色々言われているが、去る3月12日の日経朝刊に掲載された英国エコノミスト誌の「JAPAIN」という特集記事は、経済だけでなく政治や社会生活面で苦しむ日本の現状を実に見事に捕らえている。 「何も決められない日本」「改革を止めた日本」「世界から取り残される日本」 いずれも誠に正鵠を射た指摘である。悪いのは政治家だけではない。海外に軸足を置いて国内は放置する大企業のトップ。改革よりも既得権益の保持に体制が転換したため、コンプライアンスが幅を利かせて官僚も企業も新しい改革にやる気をなくし、国民全体も保守化し萎縮してきている。 わが国は依然世界で2番目のGDP規模を維持しているにも拘らず、この様では世界からどんどん見放されていく。世界の金融システムが非常事態にも拘らず、その最高責任者である日銀総裁の人選も政争の具と化して、空席が継続しているのは正にその最たる事件だろう。日本国民はグローバル化を嫌って再び鎖国でもするつもりなのか。それならその覚悟と将来像を示して欲しい。 この半年で120兆円もの株式時価総額が減少した。小泉改革で評価された日本の価値があっというまに失われた。このままでは増税、年金減少、医療費負担のアップなど痛みを伴う改悪が目白押しだ。まあそれも自分たちが選んだ国会議員と既得権益保持に奔走する人々、それに何も言わない従順な日本国民がもたらした現実だから、悔やんでもしょうがない事なのだろう。 原油や金銀だけでなくあらゆる鉱物資源や穀物類、更に生鮮食品など日本が最も弱い一次産品の価格は世界的にものすごい勢いで上昇しており、既に小売価格にもどんどん転嫁されて来ている。 私が20年働いてきた魚の世界も状況は同じだ。「世界一の魚大国」など昔話で、今や生産高は中国の10分の1、世界の5~6位で自給率は6割以下。不足分は世界の隅々から輸入しているが、先進国が狂牛病などで蛋白源を肉から魚へ切り替えつつある事、中国を始めとする新興国の魚需要の増加で、日本は「買い負け」という厳しい現実を突きつけられている。「鮮度管理が悪い」「形が揃ってない」などとクレームを言っていたら、魚だけでなく生鮮食品はそのうち食べられなくなる。諸外国ではそんなことには目もくれず、きちんと料理して食べているのだから。 「自分の身は自分で守るしかない」と言うことを肝に銘じて生活しないと、これから前途多難な将来をまっとうできなくなると思う。助けが欲しい時ほど誰も助けてくれはしないのだから。 南無阿弥陀仏
経済 · 7月 01日, 2005年
今春、ライブドアとフジテレビが日本放送の買収を巡って熾烈な争いを演じ、世間の注目を浴びたことは記憶に新しいが、当事者間の結果の良し悪しは別として「会社は誰のものか」と言う基本問題について「会社は株主のものだ」と言う明確な回答が出た。...
経済 · 4月 01日, 2005年
今年もまた楽しい桜の季節がやって来た。この冬は12月までは暖かかったが、1月から厳しい寒さに見舞われて桜の開花も少し遅れ気味である。この季節は大自然だけでなく、学校でも企業でもスポーツ界でも多くの新入生を迎え入れ、文字通り新しい年度が始まり気持ちもおのずと高揚する。3月25日から愛知県下では大阪に次いで36年ぶりに万国博覧会が開催され、環境問題をテーマに多くの話題を提供している。1度は見物しようと思っている。 ところで、つい先日、我々の出身地に近い福岡県西部沖でマグニチュード7.0の大地震が起きた。規模の割には被災者、被害額が少なくて不幸中の幸いだが、日本はどこにいても地震からは逃れられない国だということを改めて実感させられた。予想される東海、南海地震に本気で備えなければなるまい。 経済界でもライブドアによるニッポン放送買収という大地震が起きた。外資による日本企業の株式買占めは小泉構造改革が始まって以来、金融機関を中心とする株式持合いの構図が崩れ、多くの業界で外資が日本企業の大株主となり、企業経営者にも危機意識が少しづつ芽生えて来てはいたが、ライブドアの問題をきっかけに、来年に迫っている外資による日本企業の買収の簡易化に無防備無意識の現状を、やっと国を挙げて認識し始め、泥縄式に会社法改正が行われている。 ホリエモンのドンキホーテ的勇気ある行動がプロ野球に続いて日本の古い経営体質に司法を巻き込んで大きな変革をもたらしつつあることは素晴らしい。 「会社は誰の物か。経営者はどこまで権限があるのか。大株主は中小株主を無視した増資などしてはならない。会社は企業価値を高めるための投資活動のみが許されるのであり、大株主、経営者は個人的な私利私欲で経営をすることは許されない」など今までなんとなくうやむやになっていた大事な問題に結論が出された。 裁判で勝ったホリエモンにSBIの北尾氏(あるいはソフトバンクの孫氏)というフジグループにとって白馬の騎士が現れ(ソフトバンクが漁夫の利を得るかも知れない)、まだまだどう転ぶか予断を許さないが、第三者として観劇し評論するものとしてはアテネオリンピック以来の興味深々の出来事ではある。 一方世界のナンバー1の長者にもランクされた事のある堤義明氏が、証券取引法違反容疑で逮捕されて昔日の王者の面影は無くなった。堤天皇の会社に置ける振る舞いや日常生活がテレビなどで紹介されているが、氏の生い立ちの奇異さと、次第に裸の王様になっていったことが今日の結果を招いたと言えるだろう。ここにも「会社は誰のものか。取締役の責務とは何か。企業価値を高めるとはどういうことか」という企業の原点が問われている。 イエスマンは不要というより、むしろ会社にとっては害悪である。責任ある地位にある人は身の安全を図るだけであってはならない。企業、団体の価値を高めるには今何をすべきかを常に考えて決断し、行動をすべきであろう。常在戦場はいつの時代も変わらない。