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<No.11>会社は誰のものか

  • 今年もまた楽しい桜の季節がやって来た。この冬は12月までは暖かかったが、1月から厳しい寒さに見舞われて桜の開花も少し遅れ気味である。この季節は大自然だけでなく、学校でも企業でもスポーツ界でも多くの新入生を迎え入れ、文字通り新しい年度が始まり気持ちもおのずと高揚する。3月25日から愛知県下では大阪に次いで36年ぶりに万国博覧会が開催され、環境問題をテーマに多くの話題を提供している。1度は見物しようと思っている。
  • ところで、つい先日、我々の出身地に近い福岡県西部沖でマグニチュード7.0の大地震が起きた。規模の割には被災者、被害額が少なくて不幸中の幸いだが、日本はどこにいても地震からは逃れられない国だということを改めて実感させられた。予想される東海、南海地震に本気で備えなければなるまい。
  • 経済界でもライブドアによるニッポン放送買収という大地震が起きた。外資による日本企業の株式買占めは小泉構造改革が始まって以来、金融機関を中心とする株式持合いの構図が崩れ、多くの業界で外資が日本企業の大株主となり、企業経営者にも危機意識が少しづつ芽生えて来てはいたが、ライブドアの問題をきっかけに、来年に迫っている外資による日本企業の買収の簡易化に無防備無意識の現状を、やっと国を挙げて認識し始め、泥縄式に会社法改正が行われている。
  • ホリエモンのドンキホーテ的勇気ある行動がプロ野球に続いて日本の古い経営体質に司法を巻き込んで大きな変革をもたらしつつあることは素晴らしい。
  • 「会社は誰の物か。経営者はどこまで権限があるのか。大株主は中小株主を無視した増資などしてはならない。会社は企業価値を高めるための投資活動のみが許されるのであり、大株主、経営者は個人的な私利私欲で経営をすることは許されない」など今までなんとなくうやむやになっていた大事な問題に結論が出された。
  • 裁判で勝ったホリエモンにSBIの北尾氏(あるいはソフトバンクの孫氏)というフジグループにとって白馬の騎士が現れ(ソフトバンクが漁夫の利を得るかも知れない)、まだまだどう転ぶか予断を許さないが、第三者として観劇し評論するものとしてはアテネオリンピック以来の興味深々の出来事ではある。
  • 一方世界のナンバー1の長者にもランクされた事のある堤義明氏が、証券取引法違反容疑で逮捕されて昔日の王者の面影は無くなった。堤天皇の会社に置ける振る舞いや日常生活がテレビなどで紹介されているが、氏の生い立ちの奇異さと、次第に裸の王様になっていったことが今日の結果を招いたと言えるだろう。ここにも「会社は誰のものか。取締役の責務とは何か。企業価値を高めるとはどういうことか」という企業の原点が問われている。
  • イエスマンは不要というより、むしろ会社にとっては害悪である。責任ある地位にある人は身の安全を図るだけであってはならない。企業、団体の価値を高めるには今何をすべきかを常に考えて決断し、行動をすべきであろう。常在戦場はいつの時代も変わらない。