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<No.50>関東地方の大雪、ソチ冬季五輪、STAP細胞

  • 年が明けた2014年1~3月は色々豊富な話題が国内外で発信された。関東地方の大雪、ソチ冬季五輪、STAP細胞、マレーシア航空機事件、そして個人的には全国の同期のメンバーと伊勢、熊野旅行に行ったこと。このうち前3件を取り上げてみたい。

1.関東地方の大雪

  • 立春を過ぎた2月8日と15日に山梨、長野、東京、埼玉を中心に関東地区で近年珍しい大雪が降った。どちらも東京都心では27センチと何十年ぶりの積雪を記録した。
  • そもそも8日の大雪に驚き、港区高輪の我が家でも雪掻きしないと歩けない状況だったが、15日は更に上回る積雪で、私も東京に出てきて45年になるがこれほどの大雪は経験したことがない。
  • 多摩地区に住んでいる友人から「雪が積もって玄関の戸が開かないよ」とか、横浜の友人宅での「ふくの会」も前日の大雪の直撃でやむなく中止になってしまった。それより甲府その他では孤立地帯が続出、JRや私鉄更には空や船の便も強風豪雪で運休欠航、高速道路は3日間も通行止めが続き、全国で30人もの死者と千人を超えるけが人が出てかなりのパニック状況だった。
  • 都会の大雪対策が弱体なのは理解できるが、長野県のように冬の備えが万全な地域でも、スキー場にたどり着けずにキャンセルが続出したり、物品の配達が一時不能になったりと、自然災害の恐ろしさを改めて実感させられた。
  • 日本は四季折々に自然環境が変化し住みよい国では有るが、それと同じくらい自然の猛威に襲われる。だから自然を畏怖する神道が日本に生まれ発展して、今日も神社の繁栄が続いているのだろう。私は神道が日本人には一番フィットする宗教のように思われるが、このたび伊勢神宮や熊野大社に参拝して改めてその感を強くした。

2.ソチ冬季五輪

  • 2月7日から17日間ロシアのリゾート地のソチで冬季オリンピックが開催された。
  • 開催前はインフラや施設の建設準備がはかどらず、又国際テロ組織の暗躍が囁かれ、開催自体が危ぶまれていたが、プーチン大統領の威信をかけた強力な陣頭指揮で、建設は余裕を以って完成し、運営の準備も万端だったようだ。
  • 開会式や閉会式その他のセレモニーはいずれもロシア特有のいかめしい感じかと思いきや、実に柔らかい雰囲気で西欧先進国と全く変わらない様子にはびっくりした。もともと芸術、文化にはかなり高いレベルの蓄積があるので当然だとロシア人は言うだろうが、冷戦時代のソ連からは想像できない変身だ。
  • 一方グルジアとの紛争が続いており、これに国際テロ組織が潜入してオリンピックが標的にされるとの情報が頻繁に流され心配されたが、7万人の警察官を導入して完璧に封じ込めた対応は見事なものだ。競技においても金13個メダル総数は33個といずれも出場国のトップだった事は、開催国としてのメンツを守った目覚ましい成果であり、プーチン大統領の株は国内外で大いに高まった事だろう。
  • こういう時期に日露平和条約の締結、4島返還交渉をどんどん進めることは東アジアの緊張した現状を打開するためにも、日露両国にとって悪い話ではないだろう。(この後ウクライナ問題が発生し東西の緊張が高まったので、当分静観を余儀なくされてしまったが)
  • ところで日本も金1個、メダル総数8個と海外冬季五輪で最高の成績を収めたのはまずまずと言えるだろうし、6年後の東京五輪への良い弾みにもなるだろう。中には沙羅ちゃんのスキージャンプや真央ちゃんのフィギャースケートのように期待を裏切った種目もあるが、これは毎度のマスコミのバカ騒ぎのプレッシャーにつぶされたものだろう。
  • しかしハーフパイプやボードのパラレルなど新しい種目で予想外の大活躍があったし、男子スキージャンプや複合でも16年ぶり20年ぶりのメダル獲得、そして15歳の若者や41歳のレジェンド葛西主将の大活躍と話題には事欠かなかった。
  • 中でも羽生君のフィギュアの金メダルは、大震災の被災地仙台への恩返しの思いが日本人の心を大きく揺さぶったようだ。彼らを中心に日本の若い世代が今後ますます世界で活躍することを大いに期待している。

3.STAP細胞

  • 1月29日に理化学研究所所属の小保方さんと山梨大の若山教授の記者会見で、「マウスの細胞に強い刺激をあたえる」だけで新しい万能細胞を作製できるとの報告がにぎにぎしく発表され、iPS細胞を凌ぐ再生医療への期待が一気に高まった。新聞やテレビのメディアばかりでなく、文部科学省を始め日本中で、割烹着の若い小保方リーダーの作成した「生物学の常識を覆す」成果と今後の研究の更なる発展に大いに期待が寄せられた。
  • ところが第3者による再現テストの段階になって欠陥が次々に指摘され、1か月もたたないうちに散々たたかれて、今ではまるで犯罪者扱いにする発言も出て来る始末である。
  • 私の愛読する雑誌「ニュートン」でも特集記事で冒頭に取り上げられて、その功績と作成の経過を詳細に記述しているが、読んでみた限りではなぜ言われるような欠陥が見抜けなかったのかわからない。
  • もともと生まれて7日以内のマウスの細胞が対象だから、人に応用されるまでにはまだまだ途方もない時間がかかる事は発表の時期からわかっていたが、応用可能性の大きさに目を奪われ過ぎたのかもしれない。
  • 論文の書き方に幼稚さがあるとか、致命的な欠陥がある事は隠しようがないようだが、肝心の第3者によるSTAP細胞の再現テストの成功事例がないと言うのはなぜだろう。研究に参加した14人のメンバーがもう一度チャレンジして、実際にはできていなかったのなら、どこが間違っていたのかクリアにしてほしいし、又再現できたらその方法を第三者に開陳する方法もある。
  • 関係者にとっては論文の独自性や責任の所在などが大問題だろうが、一般の人から見れば、STAP細胞が本当にできたのかどうかが一番興味のある事であって、この点を出来るだけ早く結論を出してほしいものである。