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<No.23>サブプライムローン問題

  • 今年は、冬の寒さが例年並に戻ったので、桜の時期は去年より遅くなると思っていたら、東京は3月27日に満開宣言が出た。これは観測史上3番目に早いそうだ。自宅のマンションの前庭に植えた「枝垂桜」は2年目を迎え、去年とは比較にならないほど沢山の花が咲いている。また亡妻の記念に病院の庭に植えた「花海棠」も美しい花をふんだんに見せてくれて嬉しい限りだ。
  • しかし、自然もいいことばかりではない。今年は花粉の飛散が去年より3倍も増えるそうで、既に私も被害を蒙っている。杉だけでなく檜も5月まで花粉を飛ばすそうで何とも憂鬱な話だ。一日も早くワクチンを開発してほしい。
  • さて今回のテーマについて、去年の春頃からマスメディアに載り始めた言葉だが、同年8月の世界的な株式の暴落で世界中の人々に知れ渡った。元々はアメリカの住宅バブルが原因だからアメリカ国内で処理できる問題で、世界に飛び火する可能性は少ないと思っていたし、FRBのバーナンキ議長など金融責任者も高を括っていたようだ。しかし関係者の予想に反して事態は悪化の一途をたどり、金融機関の信用収縮で今や世界中が1年前の好景気から一転して不況に突入かと言う、信じられないような状況に陥っている。
  • 過去数年世界的な成長が続き、中でもBRICSを中心に新興国の伸びが著しかったので、この辺で一旦調整にはいったとしてもおかしくないが、事日本に関しては直接関係がないにも拘らず世界で一番株価が下がっているのは何とも皮肉な話だ。
  • これについては色々言われているが、去る3月12日の日経朝刊に掲載された英国エコノミスト誌の「JAPAIN」という特集記事は、経済だけでなく政治や社会生活面で苦しむ日本の現状を実に見事に捕らえている。
    • 「何も決められない日本」「改革を止めた日本」「世界から取り残される日本」
  • いずれも誠に正鵠を射た指摘である。悪いのは政治家だけではない。海外に軸足を置いて国内は放置する大企業のトップ。改革よりも既得権益の保持に体制が転換したため、コンプライアンスが幅を利かせて官僚も企業も新しい改革にやる気をなくし、国民全体も保守化し萎縮してきている。
  • わが国は依然世界で2番目のGDP規模を維持しているにも拘らず、この様では世界からどんどん見放されていく。世界の金融システムが非常事態にも拘らず、その最高責任者である日銀総裁の人選も政争の具と化して、空席が継続しているのは正にその最たる事件だろう。日本国民はグローバル化を嫌って再び鎖国でもするつもりなのか。それならその覚悟と将来像を示して欲しい。
  • この半年で120兆円もの株式時価総額が減少した。小泉改革で評価された日本の価値があっというまに失われた。このままでは増税、年金減少、医療費負担のアップなど痛みを伴う改悪が目白押しだ。まあそれも自分たちが選んだ国会議員と既得権益保持に奔走する人々、それに何も言わない従順な日本国民がもたらした現実だから、悔やんでもしょうがない事なのだろう。
  • 原油や金銀だけでなくあらゆる鉱物資源や穀物類、更に生鮮食品など日本が最も弱い一次産品の価格は世界的にものすごい勢いで上昇しており、既に小売価格にもどんどん転嫁されて来ている。
  • 私が20年働いてきた魚の世界も状況は同じだ。「世界一の魚大国」など昔話で、今や生産高は中国の10分の1、世界の5~6位で自給率は6割以下。不足分は世界の隅々から輸入しているが、先進国が狂牛病などで蛋白源を肉から魚へ切り替えつつある事、中国を始めとする新興国の魚需要の増加で、日本は「買い負け」という厳しい現実を突きつけられている。「鮮度管理が悪い」「形が揃ってない」などとクレームを言っていたら、魚だけでなく生鮮食品はそのうち食べられなくなる。諸外国ではそんなことには目もくれず、きちんと料理して食べているのだから。
  • 「自分の身は自分で守るしかない」と言うことを肝に銘じて生活しないと、これから前途多難な将来をまっとうできなくなると思う。助けが欲しい時ほど誰も助けてくれはしないのだから。 

南無阿弥陀仏