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<No.7>老後の有意義な生き方を

考えるときが来た。 

春は自然が黄色から桃色更に緑色に変化する1年でもっとも良い季節だとNHKが報じていたが、この年齢になるととても共鳴できる季節感ではある。

日本も小泉内閣になって少しづつ改革が進み、その分明るさも増してきたが、大企業は史上最高益という割にはその実感はない。地方や中小企業はいつも後回しにされるのはやりきれない。本当に努力している企業や人々が報われる社会でありたいと思う。

 

ところで20年ぶりにテレビで山崎豊子原作の’白い巨塔’を見た。

前回は、大病院の医師である財前の傲慢さと里見の謙虚さ、取り巻く病院スタッフの官僚的な人間関係にドラマとしてひきつけられたが、今回もそれ以上に興味があったのは、自分の周りにガン患者の話が多くなってきたせいもあるだう。 

財前の傲慢さには問題はあるが、かれの外科医としての超一流の腕前、数多くの患者を救いこれからもそうしたいという考え方は立派な見識である。 

一方里見の患者に対する謙虚さ、医者としてのあるべき態度を模索する姿勢にも共感を覚える。高齢化社会の医療制度はどうすればよいか。医者の使命とは何か。医者以外の医療関係者はどうあるべきか。そして患者の姿勢も、自分は病人だからお任せということでいいのか。終末医療や安楽死が議論に上り始めた中で、患者とどう向かい合うのか。患者は病気の事実をどのように受け止め、対応すればよいのか、家族も含め重い課題である。

 

日経新聞の調査によると、大病院で評価が高いのは患者に優しく開かれたシステムの備わったところだそうである。

高難度医療の追求も必要だが、患者自身の病気に打ち勝つ意欲を一緒になって引き出すことが何よりも大事ではないか。

 

 ’医師は治療し、神は治癒する’とはまさにこのことであろう。我々も他人事ではない。本気で老後の有意義な生き方を考えねばならない時が来た。