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<No.66>新年の雑感(昭和、平成、未来は?)

天皇陛下の生前退位

  • 平成30年が明けた。この元号は1年4カ月後に一新される。今上天皇は30年前に即位されたが、先に体力の衰えを理由に退位の意思を表明されて後、紆余曲折はあったが200年ぶりの生前退位が実現することになった。
  • 昭和天皇は「現人神」であり太平洋戦争の責任者としても苦労され、戦後は人間宣言後、日本国の象徴としての責務を果たされたが、その責任の重さは我々凡人には計り知れない。そして今上天皇は象徴天皇としての役割を模索しつつ、戦争で被害を受けた国内外の慰問や国際親善、また国内の大きな災害を受けた人々にも率先して寄り添い励ましの言葉をかけ続けてこられた事は、多くの日本人のみならず外国の人々にも高く評価されている。
  • まずは心からご苦労様でした。ゆっくり休んで下さい。そして次代の天皇、皇后両陛下にはまた新しい視点で象徴天皇のご活躍を期待したい。

私の生活環境の激変

  • さて私の過去2年はこの10年間には無い変化があった。一昨年は居住マンションの大改修工事で特に外壁の80%近くを張り替える事になったため、その騒音、振動、粉塵で半年ほど家は戦場の状況になった。たまたま理事長の順番になったので、工事費の負担問題で施工者側とのシビアな交渉などが重なり大変な目にあったが、最終的には思い通りの仕上がりとなり、建物の評価価値が相当回復したこともあり、やりがいはあったように思う。
  • また白内障の進行やぎっくり腰など老人性の病にかかり、書道の稽古もままならぬ状況だったが、このストレスに輪をかけたのが、都知事選直後の小池知事による豊洲市場移転延期宣言だった。この件についてはこのメッセージのNo.61~64の4回にわたり、反対理由を詳しく述べてきたので改めて言及はしない。
  • しかし昨年の後半から私を取りまく環境は一変した。まずマンションの工事が終わり足場の無くなった事に加え、9月に白内障の手術を無事終わり世の中が格段に明るく鮮やかに見えるようになったこと。沖縄の夏
  • の海でサングラスを1日中かけていたのを急に取り外したような感じだ。今この手術は年間140万件も実施されておりもっとも多い手術なので失敗は無いように思っていたが、近しい人の友人に2人も再手術をする人がいるようで、油断は禁物である。ともあれ健康診断の結果は75歳にしては特に悪い処も無くなり、これこそ四国お遍路の「ご利益」だと思っている。
  • 書道では私が所属する社中で、この半年間で5年ぶり月刊誌の写真版に作品が4回も掲載されたり、年1回の展示会に初めて入賞するなど、思いがけない状況が続いている。目が悪い上に2度目のぎっくり腰を患った時期に書いた作品なので信じがたい気がしているが、無心で書いたことが良かったのかもしれない。来年までは目標があるので頑張るつもりだ。

これからの都政は

  • 先の総選挙で小池都知事の立ち上げた「希望の党」が惨敗を喫して、連続3回自民党の圧勝を許す羽目になったが、彼女は野党を混迷に陥れた最大の責任者だ。直前の東京都議会選挙で自らが立ち上げた「都民ファーストの会」が圧勝し、都公明党や他の野党も引き込んで多数与党を掌握出来た事に気を良くし、国会でも多数を占めて日本初の女帝誕生が実現するように報道されていた事に驕りが出て、つい本音を言ってしまったのだろう。上昇気流が強いほど下降気流も激しい。このままでは都知事として何時までもつのか知らないが、豊洲移転を政争の具にし、間違った判断で築地の関係者の生活を破壊した上、生殺し状態にしている責任を感じているなら、豊洲の土壌汚染等の風評被害を巻き起こし莫大な費用を垂れ流してきた自らの非を素直に認めた上で、きちんと後始末を付けるべきだ。
  • 安心と安全は別だと言って豊洲の水産卸、仲卸、青果の3棟の地下部分にそれぞれ下水処理関連設備を9件、入札で工事する予定だったものの、なかなかまとまらず、工事費を40%も引き上げたり、ついには自
  • 分で入札方法に問題があると言って止めた随意契約方式まで持ち込んで、目標の平成18年10月11日移転について何とか関係者の同意を取り付けたものの、「頭のくろいねずみ」が都庁を食い物にしている等と皮肉られたゼネコン始め多くの大企業が、建設費を引き上げたからと言って簡単になびくとも思えない。
  • また築地の業者にしても上部団体は今年10月11日の移転を了承したが、水産仲卸の半分はもともと移転反対なのでこれまた素直に移転に応じるかは甚だ疑問だ。30年前に神田の青果市場が太田に移転する時も、この問題が完了するまで数年くらい余分な時間がかかった経緯がある。
  • 移転延期保障費200~300億円、下水浄化工事関連35億円。そして豊洲市場の工事費6000億円の価値の大幅下落等、これがワイズスペンディング(賢明な支出)だと都の役人にどのように説明するのか。更に移転後の築地跡地についても自らが肝いりの有識者会議を乱立し、築地ブランドを生かした食の街作り等思いつきの夢語を述べているが、実態の全く伴わない話だけにこれがアウフヘーベン(止揚)ということなら、唯物弁証法のマルクスも草葉の陰でびっくりしているのではないか。
  • オリンピック関連工事も豊洲移転延期の影響で完成が遅れ、東京オリンピックはまともに開催できるのか大いに疑問を感じている。最後には突貫工事で工事関係者にまた自殺者が出ない保証はない。
  • 五輪関係費はIOCや組織委員会の努力で1.3兆円に圧縮されたようだが、都知事が以前にソフト関連の総費用が別に1.5兆円とはじいていた数字は工事の遅れなどでどこまで増えるのか。工事費を多少削ったところで実態がこんなちぐはぐな事では何のための五輪経費見直しだったのか。こんな政治家たちを支持してきた7割の都民、そして「都民ファーストの会」の議員の皆さんもよくよく反省していただきたい。

平昌冬季オリンピック

  • さて今年は韓国で平昌オリンピックが2月に開催の予定だが、北朝鮮問題が風雲急の状態で無事に開催できるのか、開催不能なら朝鮮半島のみならず日本列島も穏やかな年はとても送れそうにないが、その行方は金正雲委員長の掌中にあると言っても過言ではない。
  • 日米韓に加え中国も経済封鎖に努力してはいるが他の3国ほどの厳しさは無い。この間に北はミサイルも原爆も実験は成功した。後はこれら武器の大量製造配備に時間がかかるがそう長くはないだろう。
  • 最近はロシアも参加しこの問題の平和的解決に努力し初めているし、世界中の国々もその深刻さに気が付き始めているが、これだけ経済封鎖をして北朝鮮人民の生活を犠牲にしても原爆やミサイルの開発を続けてこられたのはなぜか。中国の非協力だけなのか。表に出ていない物や金のルートが存在するのかもしれない。
  • 我々日本国民としては政府関係者の平和的解決の努力を願っているが、不幸にして戦争になればかなりの人的経済的損失は免れないだろう。しかし今まで一貫して平和憲法を支持してきた野党や国民は、自分たちがこの状況で政権を任せられたらどうするのだろうか。アメリカを中心とした軍事的圧力無しに、本当に話し合いで平和的解決が可能なのだろうか。北朝鮮のミサイルが直接上空を飛んでいる国民にはどう説明するのだろう。
  • 私は10年前のこの「会長メッセージ」で朝鮮半島の非核化、平和を実現する手段として、平壌でオリンピックを開催し、施設や道路の建設や運営指、導更には資金なども全て関係5カ国で面倒を見れば、おのずと北朝鮮の指導者も国民も世界に冷静な目が向き、戦争への緊張から経済発展に取り組むようになるのではと言う考えを書き記してきたが、結局話題にもされず今日の緊張状態を迎えてしまった。オリンピックは平和の祭典だから古代オリンピックのように、今回の平昌オリンピックで開催中に戦争はしない約束をし、違反した国家とは国交を断絶することを国連総会で決議することはできないものか。
  • 日本は3年後の東京オリンピックに向けて弾みをつけるためにも、今回は20個程度のメダルを取りたいところだが、参加選手の頑張りよりも政治の果たす役割の方が圧倒的に大きいようだ。1980年のモスクワ五輪で開催国ソ連のアフガン侵攻を批判して、日本を含む西側諸国の多くがボイコットしたが、政治問題でオリンピックが中止される等の影響が無いよう切に願いたいものである。