<No.47>日本の復活を期待する

  • 昨年12月に自民党の安部内閣が復活を遂げて以来、世の中が大きく変わってきた。
  • 永年染付いたデフレからの脱却と日本経済の再生復活を目指した「3本の矢」政策が実施に移され、徐々に効果が出て来たようである。
  • 小泉内閣の後継の自民党3内閣は長期政権のひずみが噴き出て、政権交代を余儀なくされたが、代わって誕生した民主党政権は当初国民の期待が非常に高かった。新鮮なマニフェストが目白押しで大いに期待したのだが、もともと財源問題が不透明だった上に、デフレを容認する考え方が根底にあり、しかも政治思想的にも右から左まで混在し党綱領もない集団なので、纏まりの悪さもひどいものだった。
  • 鳩山内閣は地球温暖化対策、沖縄米軍基地の県外移転、少子高齢化対策、高速道路無料化、八場ダム工事中止宣言、果ては特別会計と言う名の埋蔵金の発掘など多くの政策を発表したが、言うは易く結果は悲惨だった。
  • 菅内閣の時に発生した東日本大震災は新米内閣にとって荷の重過ぎる災害で、復興対策の遅れ、被害原発の処理、原発再稼働問題などそのつけは国民に押し付けられたままだ。
  • 野田内閣に至ってはマニフェストの目玉の実現は無理とわかって、自民党の政策である消費税のアップを自公と組み国会を無視して成立させたために、国民の不信感を増幅させ、昨年末の総選挙では歴史に残る大敗を喫してしまった。
  • 自民党にしてみればこの民主党の大失政が追い風になり圧勝したが、内容は安部内閣の分析しているように議席の数ほど国民が信頼を寄せた訳ではない。この点新生安倍政権は大勝に慢心することなく実に慎重に安全に政策を実行してきた。
  • まずデフレの心理を国民から一掃するために、日銀に超金融緩和を迫り「2%インフレ」を容認する人物を総裁、副総裁に据え、異次元といわれる金融緩和を実行し、株価の大幅上昇と為替の円高是正を実現した。これだけ急激な円高是正は通常なら世界から非難を受けてしかるべきだが、デフレ払拭が真の狙いである事を世界に理解させた力量はたいしたものだ。
  • 次いで医療費削減、年金見直しなどの「財政再建」、更にはTPP参加をはじめとする「成長戦略」が徐々にその内容を見せ始めている。この2政策が実現してこそ初めて「アベノミクス」が本当に成果を上げる事になるが、それにはまだまだ時間がかかる。まず資産価値の上昇が始まり、先行して利益を享受している人もかなり出ているが、サラリーマンや中小企業、更には大改革を強いられる農業など第一次産業などに恩恵が廻って来るのは、まだかなり先の事だろう。
  • 最近株価の上げ下げがきつくなって、アベノミクスは「博打政策」と非難する人が有名な評論家や企業のトップ、政治家の中にかなり出てきているが、長い間デフレのぬるま湯に浸りきった人心を一新させるためには死ぬほど大きな変化が必要である。
  • 日本は嘗て明治維新、太平洋戦争の敗戦で辛惨を嘗めつくしてきた。世界でも東西冷戦が20年以上前に終わり、ソ連東欧の共産圏が崩壊、民主国家として再生しつつあり、中国も天安門事件以降共産主義から資本主義体制に変化して世界で2番目の経済大国になった。要するに経済が好調な時には政治も安定するし、逆に経済が不安定ではすべてがうまくいかなくなる。
  • 安部首相はこの事を雌伏5年の間に真剣に勉強されたようだ。最近の世論調査でも依然として60%を遥かに超える高い支持率がある。「他の政党よりも信頼できる」「政策がよい」などがその理由だが、これを非難する人達の多くは、部分的に悪口を言うだけで、自分ならどのような社会を目指すのか、又それは財源問題も含めて本当に実現可能なのか、誰にもわかるように具体的に論じてほしい。
  • 昭和40年代から積み重なってきた1000兆円もの国債残高、大人一人当たり1000万円の負担をこれからどうして処理するのか。埋蔵金などしれたもの。今話題のシェールガスか、金鉱脈でも堀り当てる見込みがあるのか。
  • このままなら敗戦直後の300%ハイパーインフレで、再び日本をガラガラポンして出直すしかないのだが、これも悲惨な結果となるのは明らかだ。それよりも時間をかけて少しでもその負担を減らす努力をする事が重要ではないか。
  • 構造改革とは既得権益を打破し、より効率的な経済構造を構築する事だから、反発も半端なものではない。小泉内閣の郵政民営化があれだけ圧倒的な国民の支持を勝ち取ったにも拘わらず次第に骨抜きにされている。今後のTPP交渉に関しても農業牧畜、医療関係者などから厳しい反発を受けているが、相手国との交渉でありこちらの都合ばかりが通せるものではない。お互いに譲り合って国家のトータルとしてベストな結果を求め、失われる分野には新たな事業を立ち上げ育てるなどの政策に全力を注ぐ事が、国家国民の大事な努めなのではないか。
  • 先日東京都議会議員選挙が終わり自民、公明の与党が予想通り圧勝したが、得票率は2党合わせて50%しかなく都民の支持を十分に獲得したとは言い難い。一方民主党はここでも惨敗、第4党に転落した。個人的には、私が永年勤務していた陳腐化老朽化した「築地市場」の豊洲移転が都議会民主党の反対で5年以上も遅れたのは痛恨の極みだが、それはそれとして、7月の参議院選挙でもこの流れが継続し、決められる政治、世界に貢献できる政治を実現できれば、日本の若者に明るい未来を約束でき、我々老人も後顧の憂いなくあの世に旅立てるだろう。