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<No.31>釈然としないこと

  • 毎年、桜の花が咲き始めるといよいよ春到来で気持ちがうきうきして来るが、花に関連して昨年6月、北海道に「100万本の花見物」の旅行に行った時の事を思い出す。当地の最高の季節と思っていただけに大いに期待して旅立ったが、案に相違して芝桜もチューリップもラベンダーも、ましてや原生花園でも殆ど花らしい花は見られなかった。
  • 聞けば丁度端境期で北海道を代表する花は5月と7~8月に限られるという。もっとも雄大な畑や緑の濃い原生林、そこから聞こえてくる季節外れの蝉時雨など大いに自然環境の良さを満喫できたし、ホテルの食事も絶品だし温泉でも随分癒され、極め付けは霧で有名な「摩周湖」が、晴れて青く深い水底まで見られたのだから文句は言えないわけだが、旅行のキャッチフレーズとのずれが大き過ぎてどうも釈然としない気持ちが残った。
  • 最近こうした事がよくある。新型インフルエンザの話だが昨年夏から北米を中心に大騒ぎになり、世界保健機関(WHO)が最悪のフェーズ6:パンデミック(世界的な大流行)を宣言して、日本でも一時成田空港で厳戒態勢を敷き、更に厚生省の指示で全国的な学校閉鎖、マスクの着用、うがい手洗いの徹底など厳しい指導がなされ、その所為か肝心の冬場の流行時期にもたいした事にならず既に世界的にも終息したように思われる。
  • ワクチンの大増産は不要に終わり、結果として通常のインフルエンザよりも少ない被害で済んだようだし、副次効果として風邪などの患者数が例年より減少して大変結構な事だと思っていた。
  • しかし一部では初めからこの病気はたいした問題ではなく大騒ぎし過ぎという批判があった。ワクチン増産で製薬会社の利益を生むことに世界の組織が上手く使われたに過ぎない。ヨーロッパのある国ではそうした噂の真偽を糾すための捜査が行われているとも言われる。どちらが本当なのかこれも釈然としないが、是非はっきりして欲しいものだ。
  • もう1つ、ここ十数年来の世界的なテーマである「地球温暖化」について。
  • 18世紀の産業革命以降化石燃料の消費量が著しく増加したため、資源がまもなく枯渇し人々の生活に大きな影響が出てくるので「省エネルギー」対策と代替資源の開発に全力を注ぐべきと言うのが世界的な問題だったが、近年はそれよりも化石燃料の燃焼で発生するCO2が地球の表面を覆い、熱の発散が阻害される事で気温が著しく上昇し、海水面の上昇を惹き起こして、水没する国も出てくると警告されている。
  • そのため世界各国が協力してCO2発生を極力減らすべく首脳会議が開催され、削減数値目標の設定などが議論されている。日本も世界に先駆けて90年比25%削減を打ち出して世界の注目を集めているが、これからこうした地球環境維持改善のために途方もない投資が行われ、また先進国と新興国との間で過去の歴史を塗り替えるような新しい戦いが繰り広げられる事と思うが、最近IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表している地球温暖化の事実を示すデータが捏造されているのではないかと言う疑惑が出て来ている。
  • 木の年輪を調べて過去1000年の気温の変化を調査する方法では、この期間は何年か毎にかなりの気温の上下があるものの全体としては安定している。しかし最近50年の調査は同じ方法を採用せず、世界各国の何地点かを実測しその結果著しい気温の上昇が見られると言う報告になっているが、前者の方法で調べるとむしろ安定ないしは若干下がり気味だと言われ、また実測データも気温が下がっている地点はわざとはずして都市近郊など温暖化している地点を中心にデータが作られているとの批判も出ている。
  • この辺は素人判断では何ともいえないが、地球の誕生から今日までの46億年を振り返ると灼熱の火の玉から徐々に冷却し、多細胞生物が繁殖してくる10億年前頃から既に地球は全球凍結と融解温暖化を繰り返し、現在は1万年前までの最後の氷河期から間氷期に入り、温暖化により海水面は120メートルも上昇して日本はアジア大陸から切り離された。
  • ここ1000年で見てもイギリスのテームズ川が凍りついたり、ナイル川が何年にもわたり水量が激減したりと言う環境変化は頻繁に起きている。
  • 問題のCO2の大気中の含有量は温暖化以前0.02%だったものが、現在0.03%になっているが、氷河が溶けて気温が今より5~6度くらい上昇した時の大気中のCO2含有量は桁違いに多かったらしい。この程度の温暖化は地球の生理現象の1つに過ぎないという人もいる。
  • 本当に近い将来海水面が著しく上昇するのなら、日本国内でも海に沈む土地から移動する人たちが大量に発生するのだから、その人たちを受け入れて新しい社会システムを構築することが大事である。私有財産の禁止など思い切った施策が必要であろう。国土が沈没する人たちの受け入れも本気で考えなければならない。
  • 「日本沈没」と言う小説が描くように、温暖化だけでなく地震や火山の噴火など自然災害に対して人間は所詮避難するしか生き延びる道はないし、国土を失った人たちの悲劇は計り知れない。あまりばかげた議論で大騒ぎして見当はずれの対策に血道を挙げるのはいかがなものかと思っている。