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<No.18>男性天国社会は終わった

新年おめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。 

  • 昨年はスポーツ界では冬季オリンピック、WBC世界野球大会、世界水泳選手権、ドイツワールドカップ、そして年末はアジア大会とビッグイベントに一喜一憂したが、振り返って見ると王ジャパンの奇跡的優勝以外はあまり感激がなかったような気がする。 
  • 経済面では小泉内閣の構造改革が少しずつ効果を見せ始めて来たが、史上最長の好景気というにしては実感に乏しい。事実、企業は好決算が続いて法人税収は大きく伸びているが、庶民への恩恵は未だ微々たるものだ。
  • また政治面では、わが郷土出身で戦後最年少の安倍内閣が誕生した。最初は硬直していた中韓外交に道筋をつけ順調な滑り出しだったが、郵政民営化反対議員の復党問題で味噌をつけ、その後も教育基本法改正審議の途中で、やらせ、いじめ、高校の必須科目未履修問題などを巡り、強引な手法と指導力不足を露呈し、支持率が急落しているのは残念だ。
  • 日本が中世封建制社会から近代資本主義社会へ変貌進化する過程で、明治維新、第二次大戦の敗戦に次いで3回目の国難ともいえる現在の平成危機の克服はまだ道半ばに過ぎない。あらゆる分野で硬直化したシステムを打ち壊し、時代を先取りするパラダイムを作り上げることは並大抵ではない。国公債は800兆円を超え、今なお増え続ける莫大な借金を抱えながら、一方では少子高齢化がますます深刻化し、人口は昨年から減少する事態に陥った状況では、国民の将来に対する不安はとてもぬぐえそうにない。
  • 他方、世界に目を向けるとユーロ圏は空前の景気を謳歌し、またBRICS諸国や東南アジア、極東アジア各国、中東を始めとする産油国など殆どが好景気で著しい経済発展を見せており、先進国では日本だけが取り残される心配がある。
  • こうした状況の中でわが国の将来を切り開くために打ち出された安部内閣の「成長なくして行財政改革なし」の路線は理解できる。そのためには更なる規制改革や機械化を推進するとともに、高齢者の有効活用、女性の働きやすい職場環境の創出、フリーターやニートの再教育による戦力化、外国人労働者の受け入れ拡大、移民の受け入れまで思い切る必要があろう。 
  • ところで、今年から団塊の世代が60歳定年を迎えるので今後、企業の技術の維持が困難になるとか、離婚しても厚生年金が妻にも半分支給されるようになるので、熟年離婚が激増すると言われている。我々の若い頃は結婚100万組以上に対して離婚は10万組以下と低い比率だったので、罰点の男女はつらい思いをしたものだが、昨今は結婚対離婚の比率は3:1になっており、更に離婚率が高くなると、非嫡出子の比率が欧米(20~40%)に比較して桁違いに低いわが国(1%)としては少子化にますます拍車が掛かる。
  • 政府や企業経営者、なかでも世の男性諸氏はこうした状況を直視し、男性中心の古い慣習に囚われず、性による差別を完全になくして女性パワーをもっと有効活用せねばならない。逆に言えば、男性はもっとしっかりしないと家庭を破滅させるだけでなく、とどの詰まりは国まで滅亡させてしまうことになる。
  • 「もう一度生まれ変われるとしたら、今の夫、妻とまた結婚したい」という夫婦は現在では何%くらいいるのだろうか。これも我々の小さい頃は結構高い比率だったように思うが、昨今は絶望的に低くなり、特に妻の方にその傾向が著しいようだ。 
  • 「衣食足りて礼節を知る」と言う諺は変化して「衣食足りて礼節を忘れる」と言うことになるのだろうか。