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<No.10>新しい時代に向けて改革を

  • 平成16年は記録に残る自然災害の年となった。異常気象の所為か、台風が史上最高の10個も上陸。
  • 東京はヒートアイランド現象が進行し、平均気温が九州宮崎を抜いて日本一(17.4度)になった。又新潟中越大地震(震度7)の大災害も記憶に新しい。
  • 世界的に見てもアメリカのハリケーン(90メートル/秒)の猛威がたびたびニュースで流れたが、極め付けは12月25日にスマトラ沖で発生した大津波による被害だろう。インド洋周辺諸国の死者の数は日に日に増え、6万人とも8万人とも言われているがそれにしても空恐ろしい数である。
  • しかしここ何十年かの間に異常気象とか地震なども地球規模で原因の解明が進んできた。人類の誕生までとは言わないまでも、現生人類が生まれた頃までにさかのぼれば、つい1万年前までは寒冷期があり当時は海面が50メートル以上も低かったので、日本と大陸がつながっており、インドネシアの多くは島ではなく陸地になっていたようである。気温も低いから、気候も生活の質も現代とは全く異質のものだったろう。
  • また、地震についてもプレートテクトニクス理論によれば、大陸の乗っているプレートの境界では、一方のプレートの沈み込みによるエネルギーの蓄積が一挙に爆発するときに巨大地震が起きる(今回のスマトラ沖地震はその典型)ので、我日本はどこにいても地震からは逃げられないと言う。
  • そうした巨視的視野から見れば、どんな自然災害も「まあしょうがない。被害にあわれた人たちは運が悪い」とも言えるだろうが、そうした実績経験を積み重ねて、人類はより高度な文明社会を築いてきた。
  • 一方で人間は戦争で毎年何十万場合によっては何百万の同胞を今も殺し続けている。原爆を使えば一度に何十万人の大量虐殺も可能である。それでもNHKのスペシャル番組で放送したように地球誕生から今日までの大異変の状況に比べれば問題ではないが、我々は自分たちだけでなく子孫のためにも、自然にたいしてもっと謙虚にならなければならないと思う。
  • ところで、今年の日本は、バブル崩壊後の整理が進みつつあるものの、景気は一段落し国家予算も4年連続緊縮、増税再開と余りいい話は聞かれないが、昨年のアテネオリンピックや、米メジャーリーグなどで日本選手の大活躍にも見られるように、自力更生の芽生えが随所に見られるようになって来た。特にプロ野球では近鉄オリックスの合併話から大揺れに揺れた結果、楽天やソフトバンクと言う時代のリーダーが参入し、今まで君臨してきた巨人、西武、ダイエーなど既存勢力が大きく後退した。また交流試合やアジアリーグも検討されており大改革が進んでいるのは非常に楽しみだ。
  • こうした構造改革がどの分野でも起きているが、惰眠をむさぼる業界、特に役所に守られてきたところは(私のいた中央卸売市場も含めて)、新しい時代に向けてもっと真剣に改革を実施しないと、世の中から、手痛いしっぺ返しを受けることになるだろう。