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<No.9>オリンピック躍進の源泉

4年に1度の世界のスポーツの祭典オリンピックが、去る8月の17日間ギリシアのアテネで開催された。事前に危惧されたテロは発生せず、また施設の不備や競技の運営などもほぼ順調で、さすが古代オリンピックを1100年間開催してきたギリシア国民の力量が遺憾なく発揮されたこととご同慶に堪えない。

これに比べワールドカップアジア予選で見せた中国人の観戦マナーの悪さは遺憾に堪えない。政治だけでなく経済的にも大国の仲間入りを果たした中国の民度の低さは、これから4年間でどれだけ改善されるのか注目したい。

 

ところで、日本はアテネ大会で金メダル16個、メダル総数37個と史上最高の成績を上げた(私の予想は金10個、メダル総数30個だったが、プラス側に外れて嬉しい限りだ)。これは個々の選手の努力の賜物であることは言うまでもないが、他方、日本が北京大会に向けて国を挙げての支援体制を組んでいることも見逃せない。スポーツ関連予算の増加、施設や器具の充実、コーチ陣の強化、メダル賞金の増加などが挙げられるが、それは今までにも実施されていたことで、ソウル(1988)大会以後の4大会の惨状を一挙に覆す大躍進の説明にはならない。

 

I OCの英断でドーピング検査を徹底し始め、これに縁の薄い日本が相対的に浮上したとの説(ハンマー投げの室伏選手の繰上げ金メダルがその例)もあるが、別の視点から見ると、日本がバブル経済に浮かれた後、その反動で長期にわたって経済が低迷し、人心も暗く将来の展望が開けぬまま日本崩壊がささやかれ始め、近年やっと国民全体が抜本的構造改革の必要性に目覚め、自助努力以外に浮上の道はないと自覚し、前進し始めたことがその背景にあると思われる。何事も意識の改革なくして新しい世界は生まれない。

続いて行われたパラリンピックでも日本は史上最高の成績を上げた。アメリカ大リーグではイチローも松井も頑張っている。日本人の夢を次々に実現するスポーツ選手の活力を、国民自らが取り込んで、21世紀の日本の明るい未来を築きたいものだ。